イントロダクション
2018年
LAL STORY-sp- 第一弾が始動した。
東憲司と朴璐美。
この二人は、朴の古巣である演劇集団円にて2度タッグを組み、
3度目のタッグは東のホームである桟敷童子に朴が主演し、
4度目のタッグは互いのホームを飛び出し、
LAL STORY-sp- 第一弾としてアリエル・ドーフマン作「死と乙女」を上演し、高い評価を得た。
そして
2019年10月
LAL STORY-sp-第2弾が鳴動する。
東憲司と朴璐美は5度目のタッグを組む。
そして今回も、菊田一夫賞演劇賞や毎日芸術賞を受賞し、
「死と乙女」でも劇世界の中で自由自在に生き、
観客を混乱の渦に叩き込んだ山路和弘を再び迎え、超難作に挑む。
それは───
テネシー・ウィリアムズ作
「さけび」
演劇界の寵児だったテネシー・ウィリアムズが名声を失い失意のどん底にありながらも
10年に渡り改稿し続けた彼の告白的私戯曲『さけび』。
「あなたと妹さんは──
狂っている!」
フェリースとクレア。この二人の兄妹の芝居とも現実ともつかない
台詞の応酬に作家自身の「心の叫び」が赤裸々に曝け出される。
コミュニケーション不全が問題視される現代社会に
現実と虚構の間から彼の「魂の叫び」が問いかけてくる。
冷たい牢獄のような劇場から金色の向日葵を超えてシャボン玉は飛んでいけるのだろうか・・・
「外」へ・・・
従来の形態では、
私が経験した狂乱状態を
表現できなかったのです。
──テネシー・ウィリアムズ
あらすじ
座付き作家兼俳優の兄・フェリースとその劇団の看板女優の妹・クレア。
彼らが率いる劇団が、ある辺鄙な土地へ旅公演にやって来たのだが、
「あなたと妹さんは───狂っている!」
と、劇団員一同の署名入りの電報を残し、 全員跡形もなく消えてしまった。
残された二人の兄妹。 すでにお客は幕の向こうにいる。
フェリースは嫌がるクレアを説得し、
急遽演目を「二人だけの芝居」に変更し、幕を上げるのだが、
その内容は、二人が抱える暗くて悲惨な過去の事件へと結びついていくーーー。
「なぜはっきり言わないの?私たちは異常だって!」
「やめろ!自分で着れるものは、自分で着る!
ここはヘイヴン州立精神病院じゃないんだ!」
現実と妄想が交錯する───
これは芝居なのか?現実なのか? クレアは狂っているのか? フェリースが狂っているのか? それとも...?
ウィリアムズの魂の叫びが、 脆くも繊細で美しく、静かに情熱的に炸裂する。
───クレア、誰に電話しているんだい? ───
───この世界の終わりに電話する相手なんて、誰一人いないわ───
───じゃぁ、どうして受話器を握っているの? ───
───まだつながっているかな、と思って。 ───